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長野地裁、五輪招致疑惑に関連し
八十二銀行の口座記録の
証拠保全を決定!


青山貞一

掲載日:2005.7.21


 長野県議会は、2005年6月の議会で”反田中”の7会派が中心となって百条委員会の設置を決議した。百条委員会の設置により田中康夫知事に関連した4つの案件について都合15回の特別委員会を開催し、真相を究明すると言う。

 一方、田中康夫知事は、常々、百条委員会を設置し究明すべきは、田中康夫知事就任以前に起こった長野オリンピック招致にかかわる使途不明金問題であると述べている。

 さらに、保守系県議らによる政務調査費を使ったコンパニオンも交えての泊りがけの大宴会など、公金の使途であり、県議の超高額な海外視察であると述べている。

 おそらく長野県民にとっての関心事は、来年秋に選挙を控えて政策的事項を何でも政局化する県議会と地元メディアの見え透いたタッグマッチではなく、オリンピック招致をめぐり当時の知事、県議会、地元新聞そして八十二銀行らが行ってきたとされる金銭的に不明朗な招致活動の真相究明であろう。

 これら長野県議会とマスメディアによる反田中のタッグマッチ及びオリンピック招致疑惑等については、長野県在住のジャーナリスト、内山卓郎氏が岩波書店の「世界」(2005年8月号)で”知事と議会と報道と〜永の県政の「混迷」を検証する”と題し10頁にわたって仔細に書いている。参照して欲しい

 ところで、田中知事はオリンピック招致疑惑に関し、かねてより「長野県」調査委員会を設置し、ジャーナリスト、弁護士らがまさに真相の究明に粘り強く努力してきた。「長野県」調査委員会については、「長野県」調査委員会のホームページ を参照のこと。

 以下の2004年6月14日の朝日新聞記事にあるように、すでに焼却されたはずの会計帳簿が発見されるなど、情報隠蔽に走る当時の関係者らの策動に対し、東京地検顔負けの活動を行っている。

長野五輪招致委の帳簿の一部?発見
項目に振り替えの跡

 長野冬季五輪招致委員会の会計帳簿の一部とみられるコピーが見つかったことが14日、関係者の話で分かった。国際オリンピック委員会(IOC)委員に対する接待の実態や買収疑惑を裏付ける具体的な支出明細は記されていないが、項目間の振り替えの跡がみられるという。

 帳簿のコピーを見つけたのは、長野県の田中康夫知事が委嘱した委員でつくる「長野県」調査委員会(会長=大塚将司・元日本経済新聞ベンチャー市場部長)。関係者によると、コピーが今年4月、長野県庁内で発見されたという。98年冬季五輪開催地を決定するIOC総会(英バーミンガム)が開かれた91年度の招致委員会の会計収支を記したもので、帳簿には項目間の振り替えの跡などがあるという。

 招致委員会の会計帳簿は90冊余りあった。同委事務局があった長野市役所内に保管されていたが、開催地決定後の92年3月末、事務所明け渡しに伴い「不要なもの」として焼却処分された、といわれた。同県の田中知事は00年10月、帳簿問題の検証を公約として掲げ初当選。今年2月、「長野県」調査委員会が発足し、非公開で帳簿問題の調査を続けている。

朝日新聞 2004.6.14 (06/14 15:43)

 今回、長野地裁は長野県の申し立てに基づき、オリンピック招致委員会が活用した銀行口座の記録等に関する証拠保全を八十二銀行に対して決定した。

 この証拠保全は、将来の証拠調べが不能あるいは困難となる事情、すなわち証拠を保全する必要があると裁判所が認めたとき、提訴前あるいは訴訟継続中の証拠調べ期日の前に、裁判官立会いのもとで証拠調べを行い、その結果を確保しておくことをさす。

 今回の証拠保全により、銀行口座の記録が確保され、オリンピック招致問題に本格的なメスが入ることが大いに期待される。


NHKニュース
五輪帳簿問題 証拠保全手続き

2005年7月20日

7年前の長野オリンピックの招致をめぐって金の使い方に不明朗な点があったと指摘されている問題で、長野地裁は、招致委員会の金銭管理を担当していた八十二銀行に対し、当時の出納記録を残すよう証拠保全の手続きをとりました。(07/20 16:11)


 以下は、2005年7月20日 22:55からのNHKのニュース10の関東甲信越のニュース(トップニュースで紹介)

 7年前の長野オリンピックで招致の際の金の使い方に不明朗な点があったと指摘されている問題で、長野地方裁判所は今日、金銭管理を担当していた八十二銀行に対し、当時の金銭の出納記録を残すよう、証拠保全の手続きを行いました。

 この問題は、7年前の長野オリンピックを招致した際、長野県や長野市などで作る招致委員会の金の使い方に不明朗な点があったと指摘されながら、当時の会計帳簿が焼却されたとされているものです。
その後就任した田中知事は、第3者による調査委員会を作り、金銭管理を担当していた八十二銀行に対し、当時の金銭の出納記録を提示するよう求めてきましたが、銀行側は拒否していました。

 この為、県は長野地方裁判所に対して、銀行が持っている当時の金銭の出納記録を残す様求める証拠保全の手続きを申請し、裁判所が今日、八十二銀行に出向いて手続きを行いました。

 証拠保全の手続きを受けたことについて、八十二銀行は、県に出納記録を開示してこなかったのは、口座を管理する銀行の立場として、招致委員会を構成する県以外の自治体の総意が得られなかったためで、今回の裁判所の証拠保全の決定には従っていきたいと話しています。

共同通信社配信記事
2005年07月20日 19:49:10
五輪招致委口座を証拠保全  使途不明金問題で長野地裁 


 一九九八年の長野冬季五輪の招致活動費に使途不明金があったとされる問題で、長野地裁が長野県の申し立てに基づき、招致委員会が利用した銀行口座の記録の証拠保全を決定したことが、二十日分かった。

 長野地裁の裁判官らが同日、証拠保全の手続きをするため、長野市の八十二銀行本店を訪れた。同行は「裁判所の決定には従いたい」としている。

 長野県は今年一月、金銭の流れを明らかにするため、招致委の口座があった八十二銀行に口座明細の開示を要請。長野市など関係自治体の同意がないことを理由に開示されず、県が証拠保全を申し立てていた。

 昨年二月、長野県は招致活動をめぐる問題解明のため、調査委員会を設置。焼却されたとされる会計帳簿のコピーの一部を発見し、約九千万円の使途不明金があるとの中間報告を今年一月に発表した。


参考:民事訴訟法における証拠保全の規定

第七節 証拠保全


(証拠保全)
第二百三十四条 裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、この章の規定に従い、証拠調べをすることができる。

(管轄裁判所等)
第二百三十五条 訴えの提起後における証拠保全の申立ては、その証拠を使用すべき審級の裁判所にしなければならない。ただし、最初の口頭弁論の期日が指定され、又は事件が弁論準備手続若しくは書面による準備手続に付された後口頭弁論の終結に至るまでの間は、受訴裁判所にしなければならない。
2 訴えの提起前における証拠保全の申立ては、尋問を受けるべき者若しくは文書を所持する者の居所又は検証物の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所にしなければならない。
3 急迫の事情がある場合には、訴えの提起後であっても、前項の地方裁判所又は簡易裁判所に証拠保全の申立てをすることができる。

(相手方の指定ができない場合の取扱い)
第二百三十六条 証拠保全の申立ては、相手方を指定することができない場合においても、することができる。この場合においては、裁判所は、相手方となるべき者のために特別代理人を選任することができる。

(職権による証拠保全)
第二百三十七条 裁判所は、必要があると認めるときは、訴訟の係属中、職権で、証拠保全の決定をすることができる。

(不服申立ての不許)
第二百三十八条 証拠保全の決定に対しては、不服を申し立てることができない。

(受命裁判官による証拠調べ)
第二百三十九条 第二百三十五条第一項ただし書の場合には、裁判所は、受命裁判官に証拠調べをさせることができる。

(期日の呼出し)
第二百四十条 証拠調べの期日には、申立人及び相手方を呼び出さなければならない。ただし、急速を要する場合は、この限りでない。

(証拠保全の費用)
第二百四十一条 証拠保全に関する費用は、訴訟費用の一部とする。

(口頭弁論における再尋問)
第二百四十二条 証拠保全の手続において尋問をした証人について、当事者が口頭弁論における尋問の申出をしたときは、裁判所は、その尋問をしなければならない。